ZOHOLICS Japan 2024 参加レポート

去る2024年9月20日(金)に、Zoho Japan最大のイベント 「ZOHORICS Japan 2024」が開催されました。
会場には数多くのZohoユーザーや企業担当者が集まり、Zoho製品の発表や企業の事例を用いた講演などに耳を傾けていました。ここでは、参加レポートとともに、内容の一部をご紹介します。
ZOHOLICS Japan 2024の概要
開催日時:2024年9月20日(金) 10:00~19:00 開催場所:JPタワー ホール&カンファレンス(東京) 開催形式:会場参加またはオンライン参加 参加対象:Zoho利用者、Zohoの導入を検討している企業 |
ZOHOLICS Japan 2024は、Zoho Japanが主催する年次イベントで、2007年の初開催から定期的に実施されています。
2024年のテーマは「Think DX with Zoho」。
企業を次のステージに進めるにおいて、DXの実施はもはや欠かせない昨今。Zoho製品を活用し、いかにDXを推進させるかについてさまざまな講演やセッションが執り行われました。
次世代CRM「Zoho CRM for Everyone」
ZOHOLICS Japan 2024の目玉のひとつは、早期アクセスが限定でリリースされている「Zoho CRM for Everyone(以下、Everyone)」についてです。

従来のCRMは営業チームを主体にIT化を進め、DXを促すのが主流でしたが、Everyoneは営業チームだけでなく、社内の他の部門も含めて全社的にCRMを活用し情報共有を促進。
DXをより効果的に進める機能を装備しています。
具体的には、各部門が独自のルールや条件を設定することができるようになっています。
Zoho CRM For Everyoneの主な機能
チーム間のコラボレーションの強化
営業、マーケティング、カスタマーサポート、契約管理など、さまざまな部門がシームレスに協力できるように設計。チーム全体が同じプラットフォーム上で情報を共有し、顧客に一貫した対応が可能になります。
チームモジュール
各チームが独自のワークフローやデータセットを管理できる「チームモジュール」という機能を追加。システム部門やZohoの統括管理者が介在することなく、各部門が自主的に作業やカスタマイズを進めることができ、組織全体でCRMの利用を容易にします。
新しいUIで使い勝手が向上
より直感的に操作できるよう、新しいユーザーインターフェースを導入。
モジュールやダッシュボードへのアクセスが簡素化され、全体的な操作性の向上が見込まれます。
主要ツールの紹介とアップデート情報
Zohoのツールといえば「CRM」が筆頭ですが、ワークフローを効率化するツールが多数提供されています。
ZOHOLICS Japan 2024では、改めてZohoのツール群の紹介とアップデート情報が共有されました。
コミュニケーション・コラボレーションツール
- Zoho Connect:社内SNS/イントラネット(社内掲示板)のような社内コミュニケーションを促すツール。タスク管理やナレッジ共有も可能。
- Zoho Cliq:チャットベースでのコミュニケーションを提供するツール。音声通話やビデオ会議も可能。
- Zoho Meeting:オンライン会議やウェビナーを行うビデオ会議ツール。スクリーンの共有や録画も可能。
- Zoho Mail:企業向けフリーメールサービス。堅牢なセキュリティにより安全にメールの送受信が可能。
- Zoho WorkDrive:クラウドベースのストレージサービス。バージョン管理やアクセス権限の設定が可能。
- Zoho Writer、Zoho Sheet、Zoho Show:共同編集機能を持つオフィスツール。デスクトップ・モバイルアプリによりオフライン編集も可能。
ZOHOLICS Japan 2024では、社内での情報共有をより促進させるさまざまなアップデート情報も発表されました。
- Zoho Cliq:ライブ配信機能/メッセージの予約送信機能/不在時の自動応答機能/AIによる議事録作成機能/未読メッセージ要約機能
- Zoho Meeting:共有画面への注釈機能/個人用ミーティングルーム機能/ブレイクアウトルーム機能
- Zoho Mail:BIMI設定機能
- Zoho WorkDrive:動画の撮影・アップロード機能/ワークフロービルダー機能
- Zoho Writer:剽窃(ひょうせつ)チェッカー機能
なかでも興味を引いたのは、Zoho Writerの剽窃チェッカー機能。
作成した文章の出所をチェックしてくれる機能で、コピーコンテンツ対策に有効なため、弊社のホームページ制作においても活用したいと思います。
会計・経理ツール
- Zoho Books:財務管理と会計の自動化をサポートする会計ツール。売上、支出、税務処理などを一元管理し、リアルタイムでの財務状況の把握が可能。
- Zoho Invoice:中小企業向けの請求書作成・管理ツール。請求書の自動送信や支払い追跡、税務レポート作成等が可能。
- Zoho Inventory:注文処理、在庫追跡、複数の販売チャネルの統合をサポートし在庫管理を効率化するツール。
- Zoho Expense:経費精算サポートツール。領収書の管理や経費申請プロセスの自動化ができ、経費の追跡、承認フローの管理が可能。
これらのうち、注目機能として紹介されたのがZoho Expense。
出張編と題し、出張時における旅行の手配から清算時のクレジットカード決済履歴の取り込み、レシートのスキャン機能などを紹介。
また、マップと連動して移動距離を算出する機能など、さまざまな要望やアイディアをカタチにしており、Zohoツールの進化が止まらない印象を強く受けました。
人事ツール
Zoho People
Zoho Peopleは、クラウドベースの人事管理システム。
従業員の勤怠や休暇、評価、採用プロセスを効率的に管理することが可能です。
今回紹介された注目機能は主に以下のとおり。
- 勤怠機能:モバイルアプリからワンクリックでの勤怠打刻をサポート。位置情報も取得できるため、位置情報に応じた承認も可能。
- 申請関連機能(有休など):進捗の可視化を実現するリマインド機能を搭載。
- 人事評価機能:目標や評価項目を設定しサイクル化が可能。
- 組織設定機能:従業員の登録機能。上司設定といった階層付けができることで組織図を自動生成することも可能。
- 休暇管理機能:独自の休暇設定機能。従業員ごとの個別設定も可能。
従来のZoho Peopleの紹介に加え、次世代人事ツールとして「Zoho People 5.0」についても触れられています。
変更点としてはUIの変更や給与画面の追加、サンドボックス機能などがあるが、Zoho CRM For Everyoneと同様にチームや組織単位での情報閲覧機能を付与。
Zohoとして「チーム」を主体にツール開発を進めていることをここでも感じえます。
注目の講演
ZOHOLICS Japan 2024では特別ゲストによる多数の講演が開かれました。
参加した中でもっとも興味深いと感じたのは、株式会社京都総研コンサルティングの山中 亮佑氏の講演。
「 Zoho One を活用した営業DX挑戦への軌跡」と題した講演は、自社の営業システムとしてZoho Oneを導入した経緯やその過程です。
具体的には、
- 自社紹介&自己紹介
- Zoho Oneの導入背景
- 導入プロセス
- 導入に際しての3つの挑戦
- 現状とこれから
という流れに沿って、Zoho Oneの導入について語られました。
講演を拝聴していた中で特に興味を持った点はふたつ。
システム導入をきっかけにワークフローを再定義
ひとつは「導入に際しての3つの挑戦」内の「営業プロセス変革への挑戦」という部分にあります。Zoho CRMの商談機能には、フェーズに分けて進捗を管理することができます。
フェーズを設定するにあたり、従来の営業プロセスを見直し、新たに「顧客目線でのプロセス」を定義されたことでした。
営業の仕事は成約させることが最終的なゴールであることはいうまでもありません。
山中氏が考えたのは、最終的なゴールに導くうえで重要なことは、「営業が何をしたか」ではなく、「顧客の心理がどのように変化したのか」ということ。
例えば、見積書を作成して提出するのはただのアクションであり、商談が進んだとは言えない。
提出された見積書をもとに顧客心理が「納得」に変わった時点で、フェーズが一歩前進するといった具合です。
山中氏の物事の本質を着実に捉える能力はさることながら、DXソリューションの導入を機に、新たな営業ワークフローを定義した点にとても感銘を受けました。
新たにシステムを導入するにあたっては、捨てざるを得ない慣習やルールは少なからずあるかと思います。
とはいえ、40年近い歴史を持つ企業のワークフローをイチから見直した点には驚きを隠せませんでした。
しかし、壇上の山中氏を見ていると、どんな障壁があってもやり遂げるであろうと感じたのも事実です。
Zoho愛にあふれる人物
もうひとつの興味は、山中氏の人柄、そしてZoho愛に終始します。
そもそも、1年前のZOHOLICS Japanでは聴講者として参加されていた山中氏。
自社の営業DXツールとしてさまざまなソリューションやシステムを選定していた中でZohoに出会い、調べれば調べるほどZohoの汎用性やカスタマイズ性、そして将来性に惹かれたそうです。
自社にZohoを導入した今となっては「Zoho大好き人間」を自称するほど。
ただし、いくら自身がZohoの魅力を感じても、それを自社に導入するには相当のご苦労があったことと思います。
しかし、話をする山中氏の言葉には、説得力とは別の、心に響く何かがあるように感じました。
今回、山中氏の講演を拝聴した経験は、今後、Zohoの導入を検討されているお客様をサポートする際にとても有意義なものとなりました。
Zohoを導入するにあたっては、大きな見直しや決断も必要だという点、それをするにはお客様の会社をより深く知っている必要がある点などを学ばせていただきました。
同時に、どういった会社であっても、Zohoの多様なツール群がカバーしてくれるということも改めて感じた時間です。
最後に
ZOHOLICS Japan 2024は、Zoho製品の活用やDX推進に関心のある企業にとって非常に有意義なイベントだったと感じています。
各セッションや講演を通じて、Zohoの最新技術や導入事例が共有され、具体的なビジネス課題にどうZohoが対応できるか、どう導入していくのか、のひとつの解がそこにあったと思います。
もちろん、企業の分だけ課題はさまざまにあるわけなので、今回共有された事例ですべてが解決に至るわけではありません。
しかし。
豊富なZohoツール群を適材適所に配置・活用すれば、企業にあった解決方法を見出すこともできそうだという可能性が見えたことも良い機会だったと感じています。